新・医食同源 おいしい栄養医学ブログ

糖質は制限されるべき…ほどの悪い奴か?

2017.12.27

栄養素とてしての糖質

イマドキ ‘糖質’ は諸悪の根源。
そもそも糖質…制限されるべき…ほどの悪者?
身体に必要な’栄養’だったハズでは?

生理・医学的定義に拠れば:栄養とは:
⑴生命を維持/機能させる
⑵細胞・神経・血液・物質を作る
⑶細胞+エネルギーを作る(代謝)に使う必須の物質…となります。

3大栄養素の一つが ’糖質’(炭水化物) です。
ヒトの主たるエネルギー源となります。

◆炭水化物:ご飯・パンの主成分・でんぷん
◆砂糖(ショ糖) ◆果糖(くだもの)
等々が代表的な ‘糖質’ です。

《 ‘糖質’ の役割/機能》

★速効性の高いエネルギー源
★脳や神経系に対する唯一の栄養源
★疲労回復 ★筋肉運動の動力源/体温維持

《 ‘糖質’ が足りないと…》

☆エネルギー不足による疲労感
☆集中力・学習能力の減退
☆不眠 ☆イライラ・不安
…の症状が出ます。

Source: https://www.nipro.co.jp/sukoyakanet/21/

‘糖質’ の代謝過程<解糖系>

先ずは、’糖質’ はどんなプロセスを経てどんな ‘栄養素’ に変化するのか?見たいと思います。

1)きちんとした食事の場合は食事前から、料理する風景がヒトの五感と云うセンサーに訴えかけます:●まな板の音 ●香り立つ出汁 ●食材の輝かしい色艶…聴覚・嗅覚・視覚が刺激されます。そして唾液/胃液が分泌されます。これこそ ‘代謝’ のスイッチなのです。

2)そして食べる = ‘咀嚼’ よく噛む → すると、唾液が分泌され → 唾液中の消化酵素:αアミラーゼが炭水化物に含まれている’でんぷん’(多糖類) を分解 → 二(少)糖類の麦芽糖(マルトース)への分解が始まります。

小学校の授業で、お米が口内で’甘くなる’まで噛んだ後、シャーレでヨウ素液を垂らすと紫色に変化する実験しましたね?

あれは、お米にあるでんぷん質が唾液のαアミラーゼで甘くなる = ‘麦芽糖’ に変身…最初の代謝 = ‘消化’ を体験・目撃した訳です。

3)栄養医学により、胃酸の分泌こそが代謝過程の本当のスイッチである、と解ってきました。胃酸の分泌は、胃の中に食物が入るコトで始まる…とされて来ました。が実際は、1)の過程をキチンと踏まないと胃酸の分泌が著しく減る。つまり、消化不良になります。

ヒトが’吸収’出来るのは単糖類です。唾液による分解消化で出来た ‘二糖類/マルトース’ は未だ単糖類ではありません。

このマルトースは胃と小腸の間にある十二指腸で、すい(膵)臓が分泌する膵液に含まれる、αアミラーゼの洗礼に再び晒されます。
そして残りのでんぷんが、さらにマルトースとデキストリン(食物繊維)に分解されます。

4)代謝の終盤…マルトースになった ‘でんぷん’は、やっと小腸に達します。そこで腸液にある消化酵素マルターゼによって、とうとう単糖類ブドウ糖/グルコースにまで分解されます。

分解されたグルコースこそ身体、細胞がエネルギーにする(代謝)純粋な糖質:単糖類です。

5)グルコースになった ‘でんぷん’ は同時に、小腸/絨毛細胞から門脈(小腸→肝臓に栄養を送る血管)経由で肝臓に行きます。

6)肝臓から血液と云う ‘乗り物’ によって60兆個ある、と云われる全細胞に運ばれます。

7)グルコースは先ず、肝臓+筋肉に : グリコーゲンとして合成 → 貯蔵されます。その残りが 血糖として血液に乗って全身に配られた結果 :
◆脳・神経・赤血球のエネルギー ◆脂肪・アミノ酸の素材…になります。

グリコーゲン以外の糖質は:●果糖フルクトース ●乳糖ガラクトース…があります。これらは、肝臓にて糖質の代謝に入りブドウ糖/グリコーゲンになるのです ⇒ 糖新生・系

ここで分解されず余剰になったグルコース…今度は、肝臓および脂肪組織(筋肉中)で:トリグリセリド/中性脂肪になって貯蔵されます。

一方、血中の糖質は細胞に運ばれる過程で二酸化炭素+水に分解されます。その時、4kcal/1gのエネルギーが生まれます。脳・筋肉が働くためのエネルギーになる訳です。

グルコースとして肝臓で蓄えられた過剰ブドウ糖は、主にストレスに対抗するため、脳からの緊急指令により、グリコーゲン → ブドウ糖に変化 → 血中に再々々放出 → エネルギー源として再々々利用されます<糖新生・系>

ただし、グリコーゲンの貯蔵量には限界があります。肝臓+筋肉の貯蔵・限界を超えたブドウ糖は脂肪組織に運ばれ脂肪に変化。体脂肪として貯蔵されます。これが肥満の原因です。さらに…脂肪細胞の貯蔵量の限界を超えると、糖は常に血中に溢れかえる状態となります。そして行き場を無くした超・余剰な’糖’は、血液から腎臓に達し、ダメージを与えながら ‘尿’ として排出されます。これが…糖尿病です。

Source: http://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch3-2/

糖質制限の流行と神話化

この反対…糖質不足/低糖状態は血中ブドウ糖濃度が低い=全細胞がエネルギー不足 → 疲労感となり…この低糖状態が長期間続くと、命が危うくなります。

緊急治療室(UCI)モニターで医療者が最も重視するのは ‘血糖値’ でる所以です。低糖状態は、重篤者+高齢者には致命的です。成人(男/女)の必要糖質・摂取量は:400g/1日、600kcal./1日です。栄養医学では、これ未満の糖質・摂取が長期間に及ぶと…後述する、副腎疲労症候群を誘発すのでは…と考えています。

高脂血症・高血圧・生活習慣病の主原因…等々、まるで諸悪の根源の様に扱われる糖質。栄養医学では栄養素としての糖質を、生命に直接関わる意味では、むしろ最重要な栄養素と考えています。
糖質制限・スーパー糖質制限が流行しています。そして、今年になって低血糖クライアントさんがイキナリ増えました。そして、驚いたコトにクライアントさんの殆どがいわゆる糖質制限…しかも、クリニック・病院で血糖値を低く抑える:食事/栄養指導 or サプリメントの指導を受けている方々なのです(゚Д゚)ノ

☆起床困難 ☆眠気 ☆疲労感

上記症状が激しく、中々改善しません。また、食事する度に’血糖スパイク’が発生(食後)…猛烈な睡魔に襲われる不安から、摂食障害に陥いっているケースが殆どなのです。

ストレスと糖質

栄養外来を訪れた低血糖症状・クライアントの98%の方々は女性でした。クライアントさんの低血糖が発生した時まで遡り…生活環境・食生活について問診すると…90%発症時に精神的・肉体的ストレスに直面していたのです。

このタイプの低血糖・症状の原因は:闘争/恐怖に直面した時に、副腎とインスリンの働きが機能しない状態であると分析しています。

ヒトは、恐怖・不安・パニック・攻撃…つまりストレスに直面すると ‘闘争/逃避選択モード’ …そのストレスを克服/解消する選択肢を決めるスイッチが起動します : 闘争モード or 逃避モード。

両モード共に、膨大なエネルギーが必要です。それも即時に。従って、カラダは膨大+即時の糖質を必要とする事態に直面するのです。

‘闘争/逃避選択モード’ スイッチが起動ると、脳は速攻で膵臓に ‘エネルギー源の糖分供給するためインスリンをもっと分泌しろ’ シグナルを送信します。この時…血中に糖分が十分ある場合、インスリンにより一気に血中糖分が細胞に吸収され血糖値は低下します。

逆に、血糖値が低い場合…副腎がコルチゾールを大量に分泌。同時に肝臓に対し ‘糖分が不足しているから、筋肉+脂肪を分解し至急、糖質を供給しろ!’ と云う命令を伝達。’糖新生・系’の糖質代謝が起動→糖分供給を行います。

Source: http://rootcause.jp/afs/

現代社会と糖質

ヒトの進化史上、近代以降の社会環境は異常です。つまりヒトが生理学的に進化したどの環境下よりストレスが大きく、長期間・日常的に続く様になりました。この時代にあって糖質制限すると、副腎に元来備わるコルチゾールの生産キャパを遥かに超えた…増産に次ぐ増産が日常になります。結果、副腎は慢性的に疲弊…’副腎疲労症候群’が大量発生の事態となりました。

糖質制限派にとって、糖分=悪です。ですが…糖分は人間の脳・筋肉を機能させる主エネルギー源であり必要な栄養なのです。

糖質を一律に制限するのは実に危険です。糖質を摂らない・制限する…と云う選択肢は、栄養医学的では自殺行為・限定的と考えています。糖尿病の兆しが見られた場合 or 糖尿病の場合だけが糖質自体の制限が必要になります。
栄養医学では糖質の摂取方法こそが一番大切になります。一番の眼目は:一日を通して急激な血糖値の乱高下: 血糖スパイクを発生させない…緩やかな糖分供給=食行動をすることです。

純粋な単糖類…精製された砂糖を大量に使ったケーキ/菓子は血糖値を、速攻で上げるのです。これが血糖スパイクの原因となります。

激しい競技・スポーツ、長時間に及ぶ有酸素運動、本格的な登山…即時/大量のエネルギーを必要とする時以外は、単糖類からなる食材/飲料は禁物です。

対照的に、精製度の低い炭水化物を主食とする伝統食なら…よく噛む・料理を味わう…時間を掛けた食事になります。

従って、急激な血糖の乱高下=血糖スパイクを生むコトなどあり得ません。栄養医学的に理想の ‘摂食行動’「新医食同源おいしい栄養医学」なのです。

消化・分解酵素を補う

三大栄養素:糖質、脂質、タンパク質
五大栄養素:三大栄養素+ビタミン、ミネラル

酵素も栄養素と思われている節がありますが、酵素はこれらの栄養素が:1)細胞になる 2)エネルギー源になる…ために身体が営む遠大/緻密な ‘代謝’ …生化学反応連鎖の ‘起動スイッチ ‘ = 触媒です。栄養素ではありません。

逆に言えば、代謝過程に酵素・触媒がないと…栄養素が細胞まで行き届かない or エネルギー/血液にならない。栄養医学で遭遇する、慢性的症状/疾患の原因になります。
酵素はタンパク質 = 物質です。一つの分解・消化酵素は、一つの栄養素しか分解/消化しません。副腎疲労症候群の場合 ‘おいしい栄養医学’的食事だけでは…正直、間に合いません。
そんな時は、分解・消化酵素…特に分解に時間が掛かる炭水化物にある糖質を、キッチリ分解する酵素をサプリで補うコトが大切なのです。

Source: https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1881

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